令和6年1月1日に隣県の石川県で能登半島地震という大きな地震が起きました。福井市内は比較的大きな被害はなかったものの、やはり建物や道路などに一部損害が出ています。また、石川県では被災した方々がたくさんおられて、今なお苦しい状況が続いています。
一刻も早く、物質的及び精神的な十分な支援が届くように今後もトラウマ治療に携わる専門家として微力ながら尽力していきたいと思う所存です。
地震などの災害はもっともトラウマが生じやすい状況の一つといえます。一般的には1度しか起きない単回性のトラウマとされることが多いですが、近年の繰り返す大きな余震などにより何度も恐怖にさらされることで複雑性PTSDが生じるケースも見られています。
現在、被災しておられる方の中にはトラウマやPTSDになることを防ぐためにどのようなことをすればよいのか気になる方もいらっしゃると思います。
まず第1に優先されるのは【安心と安全】を確保することです。発災直後はこういった通常当たり前の生活も難しい状況かと思いますが、出来るなら暖かい食べ物を食べ、少なくとも倒壊の恐れのない建物で過ごし、眠る。これが何よりも重要です。そのうえで、“安心”を増やすために今できることをしていきましょう。
例えば、子どもであれば親などの親密な他者に抱きしめられたり話しかけられたりすると安心感が得られます。大人でも誰かとボードゲームなどで交流したり一緒に作業をしたり、触れ合ったりすることが効果的です。顔を見合わせ、微笑みかける。これだけでも違います。手や腕、首回りなど、自分で自分をマッサージするのも良いでしょう。
このような社会的なかかわりがあると、人は落ち着くようにできています。これは、人間特有の社会的なかかわりによって発達した自律神経が、心身を安定した状態に調整してくれる作用があるためです。
よく、ニュースなどで「お子さんを抱きしめてあげてください」といっているのはこういう作用のためなんですね。
ただし、触れたり触れられたりというのは家族や恋人など、あくまでも信頼できる間柄での話です。本当にあり得ない話なのですが、近年は避難所等での性被害なども問題となっています。どうか、二次的な被害にあわないように気を付けて過ごしてください。
支援が進んでほんの少しでも日常が戻ってくると安心感を感じるものです。一日も早く被災した皆様が日常を取り戻されるのをお祈り申し上げます。このコラムが少しでも被災した方の手助けになりますよう。